セキュリティ製品はなぜ高いのか

株式会社ペンタコン研究所 代表取締役 平舘一哉··5分で読める
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セキュリティ製品は高い、とよく言われます。

機能が高度だから。海外製品だから。為替の影響があるから。もちろん、それもあります。

ただ、長く提案する側にいて感じていたのは、製品そのものとは別のところにもかなりお金がかかっている、ということです。

海外ベンダーの製品が日本の顧客に届くまでには、日本法人、一次代理店、場合によっては二次代理店、構築や運用を担う会社、SIerやキャリアが入ります。

私の肌感覚では、1社入るごとに1.2〜1.3倍くらいは乗ります。案件によって違いますし、公表された統計ではありません。それでも、何社も通れば無視できない差になります。

では、なぜそんなに会社が必要なのか。

ここを全部「中抜き」で片づけると、実態を見誤ります。

大企業に売るには、製品以外の仕事がかなり要る

セキュリティ製品は、ライセンスだけ渡せば終わる商品ではありません。

特に大企業へ入れる場合は、誰が構築するのか、初期設定をどうするのか、日々の運用を誰が持つのか、障害が起きたら誰が最初に受けるのか、契約や請求をどうまとめるのか、といった仕事が付いてきます。

SIerやセキュリティサービス会社を外せば、これらの仕事は消えません。自社に戻ってきます。

運用できる人が社内にいるなら、それでもよいと思います。実際、一次代理店から直接買える会社もあります。

一方で、そこまで自社で持てない会社にとっては、間に入る会社が引き受けてくれること自体に価値があります。

私は、ここに乗る費用を単純な手数料とは考えていません。

問題は、その先です。

大企業向けの体制が、そのまま価格になっている

大企業の案件では、技術だけ分かれば売れるわけではありません。

契約条件について説明できること。障害時の連絡先が明確であること。サポート体制を示せること。場合によっては法務、リスク、調達、経理など、情報システム部門以外にも説明できることが求められます。

当然、それに応えるための人と手順が要ります。

海外ベンダーの日本法人や一次代理店も、単に伝票を通しているわけではありません。販売や保守サポートの窓口を持ちます。物販である以上、そこには利益も必要です。

つまり、セキュリティ製品の価格には、大企業に安心して売るための体制そのものがかなり含まれています。

必要な会社にとっては、合理的なコストです。

ただ、すべての会社が同じ体制を必要としているわけではありません。

ここに、私は以前から違和感がありました。

サプライチェーンのセキュリティを強化するという話では、大企業から取引先へ要求が降りていきます。ところが、その要求を受ける側ほど、専任のセキュリティ担当者を持っていなかったり、予算が小さかったりします。

それでも市場には、大企業へ売ることを前提に作られたサービスや販売経路が多い。

体制が弱い会社ほど、その体制ごと買わなければならないことがあります。

私は、セキュリティ製品が高い理由の一つはここにあると思っています。

買う側から見えない費用もある

もう一つ、見積書を見ても分からない費用があります。

営業やマーケティングです。

製品を知ってもらい、見込み客を集め、営業が説明し、比較検討に付き合い、契約まで持っていく。その費用も、最終的には販売価格から回収するしかありません。

提案する側で多くの見積書を見てきましたが、「広告宣伝費」という項目が載っているものは一度も見たことがありません。

当然です。製品価格や保守費の中に溶けています。

ここは、構築や運用とは少し違います。

SIerを外せば、SIerがやっていた仕事は自社へ戻ります。しかし営業や広告の費用は、その会社を経由しなくなったからといって、自社に何か作業が戻ってくるわけではありません。

買う側からすると、何にいくら払っているかが見えにくい部分です。

AIで一番変わるのは、製品ではなく売り方かもしれない

この構造が今後も同じかというと、私はそうは思っていません。

特に変わる可能性があるのは、集客と提案です。

これまでは、人が情報を探し、人が展示会や営業から話を聞き、人が比較して製品を選んでいました。そこに多くの営業・マーケティングコストがかかっています。

買う側がAIに「自社の条件に合う製品を探して比較して」と頼むようになれば、この部分のコスト構造はかなり変わる可能性があります。

構築や運用も同じです。初期設定、調査、報告の作成、日々の確認など、以前は人がやるしかなかった作業の一部は、すでにソフトウェアへ移せます。

それでも、既存環境への複雑な組み込みや、個別の説明、障害時の判断など、人が必要な仕事は残ります。

必要な人手と、ソフトウェアで代替できる部分を分けられるようになる、という話です。

PentaTrailを自社開発し、直接提供しているのもこの考え方からです。登録後の構築作業を前提にせず、外部公開資産の確認や日々の変化の把握はソフトウェア側で行います。ASMは月額40,000円、CTEMは月額68,000円です。

大企業向けの手厚い支援が必要なら、それを提供する会社を使えばよいと思います。

そうではない会社まで、同じ販売体制を必ず通らなければならないのか。

セキュリティ製品の価格を考えるとき、私は製品の機能そのものより、むしろこちらを見ています。

PentaTrailの金額は公式の提供価格です。

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