シャドーITとは:リスクと、見えない資産の見つけ方

PentaTrail編集部···4分で読める
目次

部門が独自に契約した SaaS、開発チームが立てた検証用のサブドメイン、退職者が残したままのクラウドリソース。どれも実在して動いていますが、IT 部門の台帳には載っていません。

シャドー IT と呼ばれるこの状態は、正規の手順を通らずに増えた IT の総称です。

01 / シャドー IT は、動いているのに台帳に載っていない資産

止まっているわけでも、壊れているわけでもありません。業務で使われていて、外からも見えるのに、管理する側の一覧にだけ存在しないという状態です。

シャドーITの代表的な3つの例の図。部門が独自に契約したSaaS、開発チームが立てた検証用のサブドメイン、退職者が残したままのクラウドリソース。いずれも動いているが台帳に載っていない

図1:動いているのに台帳に無い、という状態

深掘り:規模を数字で語るのは難しい

把握していない資産の割合を示す数字はいくつも出回っていますが、母集団の取り方が調査ごとに違うため、そのまま自社に当てはめられません。自社の割合を知りたければ、外から探索した結果と手元の台帳を突き合わせるのが確実です。

02 / 生まれる理由は4つあり、どれも仕事を進めるための行動

承認を待つより早い、引き継ぎから漏れた、作る速度が管理の速度を上回った、社外で作業する必要があった。悪意から生まれるものではないので、禁止の通達だけでは減りません。

シャドーITが生まれる4つの理由の図。業務効率化のために独自にサービスを契約する、M&Aや組織再編で引き継がれずに残る、開発チームが管理の速度を超えてリソースを作る、リモートワークで個人の環境を業務に使う

図2:4 つの入り口と、その背景にある事情

深掘り:承認の重さが原因になっている場合

公式に用意された道具が使いにくかったり、申請から利用開始までが長かったりすると、迂回する動機が生まれます。この場合は検出を強めるより、正規の経路を軽くするほうが効きます。検出はあくまで、起きたことを見つける仕組みです。

03 / 本当に困るのは、資産そのものより「説明できない」状態

台帳に無い資産は、守る対象にも、点検の対象にも、報告の対象にもなりません。攻撃を受けたときに、どこまで影響したのかを答えられなくなります。

シャドーITで起きる4つの困りごとの図。どのデータがどこにあるか説明できない、攻撃面が知らないうちに広がる、インシデントの検知が遅れる、影響範囲を特定できない

図3:起きるのは資産の問題ではなく、把握の問題

深掘り:問い合わせに答えられなくなる

顧客や取引先から「弊社のデータをどこに置いていますか」と聞かれたとき、台帳に無いサービスに置かれていれば答えようがありません。実害が出ていなくても、答えられないこと自体が取引の条件に響きます。何がどこにあるかを説明できる状態を保つことが、対策の目的の1つです。

04 / 見つけ方は、内側の申告ではなく外側からの探索

社内に申告を求めても、申告する側が「これは申告するものだ」と思わなければ出てきません。攻撃者と同じ側に立って外から探すと、申告に依存せずに見つかります。

内側の申告と外からの探索を比べた図。内側の申告は申告する側の判断に依存して漏れるが、外からの探索はドメインを起点に到達できるものを機械的に集めるので申告に依存しない

図4:申告に頼る方法と、外から探す方法の違い

深掘り:外から探すと何が出るか

集めるのは、組織のドメインからたどれるサブドメイン・IP アドレス・ポート・使用技術です。仕組みはASM の解説にあります。台帳と突き合わせれば、どれが把握済みでどれが初見かを分けられるはずです。

05 / 見つけた後は、継続して追い、順番を付けて片付ける

一度の棚卸しで終わらせると、翌月には同じ状態へ戻ります。新しいシャドー IT は日々生まれるため、探索のほうも継続が要ります。

シャドーIT対策の4つの流れの図。外部からの資産探索、継続的な監視、リスクの自動評価、変更の追跡という順で回す

図5:一度で終わらせず、回し続ける 4 つの流れ

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付録:起きることと、打ち手

表1:シャドー IT があると起きること

起きること 中身
データの置き場が分からない 管理していない SaaS に業務データが置かれ、アクセス制御の設定も確かめられない
攻撃面が知らないうちに広がる パッチが当たっていない古いサーバーや、既定の設定のままのサービスが外に出ている
検知が遅れる 監視の対象に入っていないので、異常が起きても気づく経路が無い
影響範囲を出せない 何がどこにあるか分からないため、事後の調査に時間がかかる

表2:ASM での打ち手

打ち手 中身
外部からの資産探索 ドメインを起点に、サブドメイン・IP・ポート・使用技術を自動で集める
継続的な監視 新たに出てきた資産を、その都度検知する
リスクの自動評価 脆弱性や設定の不備を評価し、TER バンドで順番を付ける
変更の追跡 追加・削除・変更を時系列で残し、未承認の変更に気づけるようにする

見えないものは守れませんが、見えるようにするだけでも守れるわけではありません。見つけたものを順番付けて片付けるところまでが対策です。

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