リモートアクセスの製品選定と接続方式を見直す

把握していた脆弱性を、修正前に突かれた。製品の選び方と、入口を攻撃者に見せない接続方式を考えます。

デジタル庁GSSリモートアクセス2026年9月の事案約2分で読めます出典・公表資料

GSSで約24万6千件の個人情報が漏えいした可能性

2026年9月、デジタル庁は、政府共通の業務環境「ガバメントソリューションサービス(GSS)」への不正アクセスを公表しました。攻撃者はリモートアクセスに使うVPN機器の脆弱性から侵入し、保守運用担当者のアカウントを悪用して、大量のファイルにアクセスしました。

職員や関係事業者など約24万6千件の個人情報が漏えいした可能性があり、氏名、メールアドレス、電話番号、住所などが対象となりました。[1]

修正前に侵入され、パッチ適用とアカウント停止・通信遮断で対処した

悪用されたのは、公表済みの脆弱性でした。当初の深刻度評価は「Medium」で、デジタル庁は通常より早く対処を進めていたとしています。それでも、パッチ適用前に侵入されました。製品名や脆弱性の番号、適用予定日は公表されていません。

6月25日に大量のファイルへのアクセスを検知し、7月9日にVPN機器からの侵入が判明しました。同日、当該アカウントを停止し、外部との通信を遮断しました。VPN機器へのパッチ適用も実施しています。[1]

パッチ適用には、影響の確認や作業の準備が必要です。その間も、公開された接続口には攻撃が届きます。修正を急いでも、攻撃が先に来ることはあります。

リモートアクセスの製品選定と接続方式を見直す

リモートアクセスに使う製品は、機能や価格に加えて、脆弱性の発見状況や悪用の実績も踏まえて選ぶ必要があります。重大な脆弱性が繰り返し見つかるVPN機器を採用すれば、緊急の修正対応を繰り返し、そのたびに適用前の侵入リスクを抱えることになります。

接続方式も見直せます。例えば、ゼロトラスト型の接続方式には、内部から外向きに通信を確立し、利用者や端末を確認したうえで、許可された対象だけにつなぐ構成があります。接続を待ち受けるポートをインターネットに公開せず、攻撃者が機器へ直接アクセスする経路を減らせます。[2][3]

誰が、どの端末から、何の作業をするのか。その業務要件を整理し、脆弱性への対応負担が大きい製品を選ばないことと、入口を攻撃者に見せないことを、リモートアクセスの設計に組み込む必要があります。

出典・公表資料

  1. [1]デジタル庁「『ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について』に関するQ&A」
  2. [2]Cloudflare「Cloudflare Tunnel」
  3. [3]Cloudflare「Connectivity options」