委託先のメール配信基盤に、どんな顧客情報を持たせていたか
2026年10月、メール配信サービス「Cuenote FC」への不正アクセスにより、多数の利用企業の顧客情報が被害の対象になりました。企業ごとに漏えい内容が異なったのは、配信基盤で扱っていた情報が違ったためです。
メール配信基盤への攻撃が、多数の企業に波及した
攻撃の起点は、ライブラリの脆弱性でした。攻撃者は担当者の認証情報を取得し、別システムへのアクセスやデータの持ち出しにも利用しました。Cuenote FCでは49システムで情報漏えいの痕跡が確認され、対象は延べ約5,163万件に広がりました。
ユミルリンクは脆弱性の修正、サポート用アカウントの削除、接続元IP制限などを実施しました。悪用されたライブラリ名や脆弱性の番号は公表されていません。[1]
配信基盤に持たせていた情報によって、被害の範囲が変わった
野村證券では「i-Port」加入者のメールアドレスなど、H2Oリテイリング傘下のペルソナではメールアドレスが漏えいした可能性があります。朝日新聞社も対象の9割超はメールアドレスのみですが、一部に氏名・学校名などが含まれていました。[2][4][6]
毎日新聞社ではメールアドレス・氏名など、JR各社のスマートEXでは、メールアドレスに加え会員ID・氏名(カタカナ)・会員種別の漏えいを確認しています。[3][5]
さらに、マップカメラでは、メールアドレスに加えてポイント残高・有効期限・都道府県名も流出した可能性があります。送信先以外の顧客情報も配信基盤に保存していたことで、その情報まで被害の対象になりました。[7]
メール配信の設計に、個人情報を外部で扱うリスクを織り込んでいたか
メール配信を委託する際は、どの処理を自社側で行い、どの情報を外部で扱うかを設計する必要があります。
例えば、ポイントの失効案内は、自社側で対象者を選び、本文を作ってから配信を任せる方法も考えられます。配信基盤側で対象者の抽出や本文への差し込みを行うなら、顧客情報を登録する分だけ、保存・アクセスの管理も必要になります。
発注元は、外部で扱う情報と漏えい時の影響を踏まえ、保存期間やアクセス制御、サービスに求める安全性を要件として決めておく必要があります。 既存の配信基盤も、登録項目とデータ連携を確認するところから見直せます。
出典・公表資料
- [1]ユミルリンク「当社システムへの不正なアクセスに関するご報告(第二報)」(2026年10月26日)
- [2]Bloomberg「野村証、金融機関向けサービス『i-Port』で顧客情報漏えいの可能性」(TBS CROSS DIG掲載、2026年10月23日)
- [3]スマートEX「ユミルリンク株式会社で発生した不正アクセスに伴うメールアドレス等の漏えいについて」(2026年10月27日)
- [4]朝日新聞社「外部メール配信サービスへの不正アクセスに伴うお客さま情報の漏えいの可能性について」
- [5]毎日新聞社「各種メールマガジン等の配信を再開(第3報)」(2026年10月28日)
- [6]ペルソナ・H2Oリテイリング「ユミルリンク株式会社で発生した不正アクセスに伴うメールアドレス等の漏えいについて」(2026年10月28日)
- [7]シュッピン「委託先であるユミルリンク株式会社における不正アクセスに伴う、個人情報流出の可能性に関するお詫びとお知らせ」(2026年10月30日)
